2015年9月4日金曜日

『デスメタルアフリカ』中身その2、マダガスカルはメタル大国

『デスメタルアフリカ』、先日に引き続き、中身を紹介しよう。南部アフリカの次に出てくるのはマダガスカルとレユニオン、モーリシャスのインド洋に面した島々だ。



意外に思われるかもしれないが、マダガスカルはサブサハラでは南アフリカに次ぐメタル大国である。南アフリカのメタルバンドが実質上ほとんど白人によるものである一方、マダガスカルのバンドは全て土着のマダガスカル人によるものだ。マダガスカルの先祖はインドネシアから来ていると言われている。インドネシアは今や世界有数のデスメタル大国なので、同じ遺伝子が備わっているのかもしれない。




左のお笑いにしか見えないバンドは、Vazimbalianというペイガンフォークメタル。マダガスカルの伝説上の先住民族ヴァジンバ族をモチーフにしたバンド。



マダガスカルが飢餓で苦しんだ1986年から活動している、同国のメタル界の帝王Kazar。特にギターのMilonは貫禄があり、フランスの血が入っているのかと思い、質問してみたところインド系との回答を得た。マダガスカルにはヒンズー系のバニアンやイスラム系のカラナというインド系がいるのでその末裔かもしれない。しかし彼は現在フランスに移住したらしい。



言われなければマダガスカル出身とは思えない、激重デスコアA Skyline's Severance。非常に優れたプロダクションだが、自分たちで色んなプラグインを駆使してレコーディングしたらしい。



まるでRhapsody of FireやDragonForceを聴いているかのような、メロディアス・パワーメタルAllkiniah。映像も非常に洗練されている。日本のGalneryusやRider of Storm、Undead Corporationと言ったバンドを知っているとのことだ。
(Rider of StormはDoorsの曲名だが何を意味していたのかは不明)



鉄道をモチーフにしている変わり種親父ロックLokom Lokomotivaというバンド。曲はつまらないが映像はカッコ良い。そしてまるでネイティブインディアンの様なルックス。



『デスメタルアフリカ』では随所にコラムを設けている。アフリカのメタルポータルサイトとして、『Metal4Africa』が有名だが、実はこのサイト、あまりにも南アフリカの情報に偏っており、それ以外の国の情報は非常に物足りない事を指摘。他にもアフリカのメタル情報を知る上で参考になるサイトや情報源とそれらの分析を加えた。


2008年にコンゴ民主共和国(旧ザイール)からInfertile Surrogacyというスラミング・ブルータルデスメタルが登場し、世界の度肝を抜かせた。しかし実はこのバンド、出身国を偽っているのではないかとの指摘が相次いだ。そうした「アフリカ出身を詐称しているメタルバンド」の疑惑も究明した。他にも幾つか受け狙い、あるいは驚かせる為にアフリカの国出身だと偽っているメタルバンドが見つかった。



レユニオンは正確にはアフリカの国ではなくフランスの海外県だが、デスコアが盛んなので収録した。このBlackSkullという叙情性をウリにしたデスコア/グルーブメタルは音楽的にもハイクォリティでお勧めである。なおマキシマム・ザ・ホルモンがお気に入りだそうだ。



BlackSkullのメンバーらによるデスコアBehind Our Reflections。これは先進国のバンドにも全く引けをとっていない程のクォリティで、鳥肌モノである。



一部のプログレマニアの間では非常に評価が高いとされるモーリシャスのFeedback。まるでQueensrycheやDream Theaterを彷彿とさせると言ったら大げさだろうか。フランス系のギターを除いて全員インド系というのも興味深い。


このように先に紹介したモザンビークやボツワナ、ナミビアのバンドだけでなく、マダガスカルとインド洋諸国だけでもこれだけの充実ぶりだ。しかもこれらの国は南部アフリカと違って、音楽的にも非常にレベルが高く、キワモノというよりは鑑賞物として楽しめるバンドが多い。今後これらの地域のメタルシーンは、ますます発展していくと予想されるだけに目が離せない。


さて『デスメタルアフリカ』、ここまででやっと第2章である。どれだけ情報量が満載で、魅力に溢れ、個性的なバンドが多く収録されているかが分かるだろう。


Amazonでは引き続き予約を受け付けているので、早めに予約しよう。


今後、引き続き、別の地域のページを紹介する予定だ。


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